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「学校評価の在り方と今後の推進方策について」(第一次報告)を読む

1.はじめに
昨年(平成19年)8月に学校評価の推進に関する調査研究協力者会議による「学校評価の在り方と今後の推進方策について:第一次報告」(以下「第一次報告」と記す)が公表された。そこでは平成18年3月に文部科学省の策定した「義務教育諸学校における学校評価ガイドライン」によって示された考え方を確認した上で、各学校・地域で学校評価をさらに具体化していくための推進方策や課題が述べられている。

「第一次報告」でまずもって注目しておかなければならない点は、学校評価の基本が「自己評価」にあることがこれまでの諸文書に引き続き明確に述べられている点にある。実際、p.2に述べられている「学校評価の必要性について」からもそのことは明らかである。そこではまず、学校評価の目的は「それを通じて学校運営の改善と発展を目指すことにより、教育水準の向上と保証を図ることにあり、学校評価を行うことによって、児童生徒がより良い学校生活を送ることができるようにすること」だとの確認がなされている。そして、その後で「そのためには学校こそが学校評価の主役であるという意識を持って、まず教職員自身が学校運営の状況を把握し、設置者等と連携協力しながらその改善に主体的に取組むことが重要である。そのためには自己評価を学校評価の基本として位置付け、その結果を踏まえて改善を図ること」が重要であると述べられている。加えて自己評価の足りないところ(たとえば、「同質的な視野に限られたり、中立的に自らの取組を評価しにくい面」などがあると指摘されている)を補うために学校関係者評価や第三者評価が必要なのだとされている。すなわち、それらはあくまでも学校が主体となって行った「自己評価」に基づいて行われるという位置づけである。

筆者がこの点をことさら強調したいのは、外国の事例を見ても、このように学校に信頼を寄せ、「自己評価」を基盤にして学校評価を作り上げようとしているところばかりではないためである。たとえば、イギリスでは学校評価の導入当初、外部の評価機関による評価が基盤に据えられたといわれる 。日本でも学校や教育行政に不信感をもつ人々にとっては、外部からの評価が必要だという考えは根強い。にもかかわらず、「第一次報告」ではそうした立場を採用せず、学校自身が評価の主体であることを明確に述べているのである。

この意味で、文部科学省による「学校評価システム構築事業」 は学校と設置者への期待と信頼を基盤とした大いなる実験でもある。もしここで、実効性のある「自己評価」を構築することが難しいということになれば、やはり学校は自ら説明責任を果たせる組織ではないということになり、世論は外部からの評価の必要性に傾いていくであろう。それを避けるためには、学校が自覚をもって、学校評価を実体化していかなければならない。「第一次報告」にも次のような部分が見られるが、これはまさに上記した学校評価についての考え方のせめぎ合いを反映していると思われる。

「各学校や教育委員会において学校評価の取組を進めるにあたって、学校教育法や小学校設置基準など法令上の責務が課されているから取組む、と消極的・受動的に捉えることは、その性格からみて好ましいことではない。何故法令上このような位置付けがなされているのかという、そもそもの趣旨を十分に理解した上で、学校評価に内実を伴ったものとして取組むことが求められる。」(p.2)

幸い、大阪府の場合、学校の主体性を重視した「自己評価」に関しては先進的な取り組みがなされ、全国の学校のモデルとなってきた。すなわち、平成7年から自己評価に関する研究会を立ち上げ、平成10年からは全国に先駆けて「学校教育自己診断」が行われはじめた。それはアンケートによって教職員、児童生徒、保護者の考えを聞き、それぞれの認識のズレをとらえながら質の改善を行っていく方法であった 。アンケートの項目は府教委の示した「ひな形」をアレンジして活用できる形になっており、”はじめの一歩”が踏み出しやすい形で導入された。さらに、結果の報告を義務づけず、その活用を各学校の主体性に任せてきたこともあって、実施率は数年で飛躍的に伸びた。

大阪府おける、文部科学省の「学校評価システム構築事業」は、以上のような実績をもつ「学校教育自己診断」をさらにバーションアップさせる機会になる。指定を受けた各市町の各学校はどのようにして新しいシステムにバージョンアップさせようとしているのだろうか。こうした問いに導かれながら、筆者は研究室に所属する大学院生とともに、大阪府で文部科学省による指定を受けて学校評価の開発を行っている学校のいくつかに聞き取りを行ってきた。そこから得られた個々の事例についてここではふれないが、それを踏まえて「第一次報告」を読んでみると、「学校教育自己診断」を基盤とした学校評価システムの構築に関していくつか気づいた点があったので、以下にその一部を述べてみたいと思う。

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