学校にとってもっともよいマネージメントの形とは?
学校評価の一つのベクトルとして、学校マネジメントの評価が挙げられている。この場合のマネジメントの評価は現在のマネジメントシステムを前提にして校長をはじめとする管理職が適切なマネジメントができたかどうか、教職員自身が自らの仕事を振り返りながら行っていくことが求められる。そのためこの場合のマネジメント評価はマネジメントシステムそれ自身を対象にした評価ということではない。しかし、マネジメントのシステムが悪ければ、どんなに有能な校長であっても適切なマネジメントはしにくいであろう。
そこで大切なことは、現在のマネジメントシステムそれ自身を見直してみる力を持つことである。もちろん、教員や学校のレベルでマネジメントシステムを変えるには限界があるのは事実である。しかし、与えられたマネジメントシステムを前提とせず、その他のマネジメントシステムがあることを知った上でマネジメント評価に携わることには、各学校でベターなマネジメントひを考え、遂行するうえで重要なファクターになると予想できる。
そこで、昨今のマネジメントシステムの改革動向を佐古氏の論考に基づいて振り返っておきたい。
まず、学校へ新しいのマネジメントシステムの導入については、これまでの学校が「個業型組織」ないし「個業化した組織」だと見なされているところから問題視されてきたという。すなわちそうした組織とは、「組織としての統合性が脆弱でり個別拡散的な教育活動が常態となってしまい、それゆえ、教育活動の質や水準に対して組織的に取り組むこと」(p.43)ができなくなりつつある組織だという。さらにそこでは「教育活動が個別教員に拡散し、それぞれが自己完結的にそれを遂行」(p.43)している状態であるのだと考えられている。
実際、これまでの学校が教員の個別的裁量を基盤とした組織になっていたのは事実であろうし、そうした組織の在り方のデメリットが現在的状況の中で顕在化してきているのは、教員の不祥事が多発したり、学校を取り巻く状況が変化する中でそうした変化に学校が組織的に対応できていないなどの指摘などからも明らかであろう。
それでは、こうした現状に対して、どのような改革が行われてきているのであろうか。佐古氏によれば、進行中のマネジメントシステムの改革は、(1)組織構造の改革と(2)マネジメント手法の改革の二側面からとらえられるという(pp.39-41)。
(1)組織構造の改革
組織構造については、「集権化」と「成層化」の二つが挙げられている。意思決定権の側面からの校長への「集権化」で、2000年の学校教育法施行規則の改正によって、職員会議が校長の職務の円滑な執行を補助する機関となったこと、また校長や教頭による人事評価の役割が明確化されたことなどなどに見ることができるとされている。
さらに「成層化」とは、これまで「鍋ぶた型」と呼ばれ、校長と教頭以外は目立った職階がなかった学校組織に、中間的なポストが創設され管理職を補佐する役割が付与されてきたことを意味している。大阪においても、「○●」や「○●」等が創設されている。
これら学校組織の「集権化」と「成層化」は組織を垂直的に構造化する流れだと考えられる。
(2)マネジメント手法の改革
マネジメントに関しては、民間的な手法の積極的な導入が図られ、「民間人校長」が登用されたり、「組織マネジメント」の手法が導入されたりしてきたことが挙げられる。
そこではいわゆる経営サイクル(PDCA)に準拠した経営に現れるように、経営の計画化、効率化が目指されている。
しかしながら、こうしたマネジメントシステムの改革は、学校内部からの必要観や取り組みによってなされつつあるのではなく、民間企業がもつマネジメントシステムを導入しようという考えでなされてきた。すなわち、上記のマネジメントシステムは、学校に特有なシステムなのではなく、一般の企業組織をそのまま持ち込んだものである。佐古氏はこれを学校組織の「一般組織化」と呼び、今後学校教育との適合性が問題になるだろうと指摘している。
それでは、どのようなマネジメントシステムがこれからの学校にとって必要なのであろうか。佐古氏はその在り方が今後の課題だとし、学校組織の在り方を3つのベクトルを示している。教員自身が理想的なマネジメントシステムを考える上で役立つまとめだと思われるので、ここでも紹介しておきたい。(p.46-47)
「個業化」
教員による自己完結的で個別分散的な教職の遂行を維持、要請する組織状況(構造、過程、化)」
組織構造:「分散並立的な職務遂行」→みなそれぞれ自分の持ち場をこなす
組織過程:「学校の教育活動の中核的な領域における相互作用を抑制を特徴とする」→あまり人の授業に口出ししないなど?
組織文化:「自己完結型の教職観」ときに独善的になりやすい?
「統制化」
学校組織の垂直的統合によって教員の裁量性を制約し、それによって課業の単純化を達成するとともに、教育活動の組織化(個別分散の回避)を実現しようとする組織状況
組織構造:意思決定権限の集権化、組織の成層化をとおした管理機能強化→校長が変わると組織の在り方まで変わってしまう?
組織過程:「垂直方向における相互作用の優位性」下からの情報が吸い上げられるかどうか?
組織文化:「組織の効率性、統合性の重視」
「協働化」
組織構造:「決定権限の分散(共有、分散的リーダシップ)」→民主的職能の必要(地域や保護者の参加も考えられる)
組織過程:「相補的で、双方向的な相互作用の優位性」→横断的な解決(これをするにはそれぞれが専門家である必要があるのでは?)
組織文化:「同僚性」→チームが大切にされる
さて、わたしたちはどのベクトルを重視したらよいだろうか。
佐古秀一(2007) 「民間的経営理念及び手法の導入・浸透と教育経営:教育経営研究の課題構築に向けて」、日本教育経営学研究紀要、第49号、pp.37-49に触発されて。
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