「学校評価システム」構築のねらいと当面の諸課題
はじめに
「学校評価システム」を構築するということは、具体的にはどのような課題を解決することか? 本稿では、これまで「学校教育自己診断」をいち早く、かつ広範に取り入れ学校改善に役立てようとして来た大坂府内の義務教育諸学校を念頭に置き、従来の評価システムを「外部評価の導入」と「評価結果の公表」の二つの仕組みを組み込んだあたらしい「学校評価システム」にステップアップさせるための諸課題について考察してみたい。
そのために、まずはこれまでの方向性と所産を確認しながら、上記の二つの仕組みを組み込んだ「学校評価システム」を構築するという目標をより具体的に分析し、その意義や方向性、到達点を明らかにしておきたい。昨今のマスメディアや教育再生国民会議、あるいは中央教育審議会による「学校評価システム」の必要性の議論には、学校や教員への不信をあらわにした意見も見受けられるが、私たちはこうした意見に振り回されることなく、新しい学校像を地道に探っていかなければならない。そのためには、たえずターゲットを見定め、見失わないようにしていく努力が必要である。
その上で、次にはそうした目標を達成する際に課題となる事項を、国内の先進的な事例に学びつつ幾分先取りし、指摘してみることにしたい。
後でも述べるが、大阪府内の諸学校におけるこれまでの評価活動の実践は、どちらかといえば現場での合意形成を一番の課題にし、トップダウンでの導入をさほどほど強くすすめてこなかった。このアプローチは、目標を見失わずにうまく課題解決を導ければ大きな成果が期待できるという利点がある。しかし一端、目標を見失ったり、あるいは課題解決に手間取ると迷走し、せっかくの合意も失われていくという欠点を持ちやすい。そこでこのアプローチを成功させるためには、今後の展開の中でどのような課題が生まれるか、それはどのように解決し得るかを予め考えておく必要がある。
幸い筆者は、平成18年末~19年のはじめにかけて、各地の特徴的な評価システム構築の実践について、大阪府教育委員会からの委託により直接聞き取りをする機会を得た。そこで、それらの地域で聞き取ったことをもとにして大阪の課題を先取りしておくことにしたい。
本稿では、以上の観点から「学校評価システム」の構築にあたっての当面の諸課題を明らかにしようと考えるが、このことは同時に「学校評価システム」の構築のために各学校にどのような支援が必要かを明らかにすることでもあるといえるだろう。
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